一組だけなら広いフロアも、みんなで踊ると景色が変わります。前のカップルとの間が縮まったり、さっきまで空いていた場所に別のカップルが進んできたり。フロアクラフトは、そんな周りの動きに合わせて、自分たちの踊りを組み立てることです。
まずは、フロアを天井から見下ろしてみましょう。色の違うスカートと、二つの丸い頭で一組のカップルを表しています。
LODは、みんなで共有する進行方向。
LODはLine of Danceの略。ワルツやタンゴなど、フロアを移動して踊る種目で共有する、反時計回りの流れです。床に決まった一本の線があるわけではなく、全体として進む方向の目安です。LODの解説(BallroomDancers.com)
二人が右へ回っても、左へ回っても、フロア全体の流れは反時計回り。図ではその違いを見やすくするために、組んだ二人の向きと、移動する道筋を別々に表しています。
ばらばらに始めても、集団になる?
「競技会で踊っていると、いつの間にか何組かがまとまっている」。そんな経験から生まれた仮説を、この図で考えてみます。
同じ方向へ進んでいても、一組ごとの進み方は少しずつ違います。前の組より後ろの組の方が速く進めば、間隔は縮まります。横へ移る空間がなければ、後ろの組はその場で進路を調整することになり、さらに後ろの組との間隔にも影響が及ぶかもしれません。
上の図は仕組みを考えるための模式図です。丸一つが一組。実際の観測結果や、必ず起こる順序を示すものではありません。
動く図でも、最初の配置と、しばらく踊った後を比べてみてください。近い組がまとまる場所はあるでしょうか。そのまとまりは、ずっと続くでしょうか。それとも、進路が分かれてほどけるでしょうか。
このモデルは、開始時に外側寄りの位置へ、広い間隔をとってランダムに配置します。踊り始めてから間隔が縮む理由には、その初期条件や中央寄りへ進む設定も含まれます。間隔の縮小だけで、持続する集団が形成されたとは判断できません。
「前が詰まった」より、少し手前で。
この図で注目したいのは、接触する直前ではなく、間隔が縮み始めるところです。前の組に近づいてから大きく避けるより、余裕のある段階で横の空間を探す方が、周りの動きも読み取りやすくなります。
ただし、横が空いて見えるだけで、すぐに移ってよいとは限りません。その先へ進んでくる別の組もいるからです。追い越すときも、進路を変えるときも、入り口だけでなく抜けた先まで見る。このアニメーションでも、空間のある側へ進路を変えながら安全間隔を保つようにしています。
回転する場所にも、余白を。
ときどき、一組がその場にとどまって回転します。これが図の中のスタンディングスピンです。移動しない間も、二人が回るための空間は必要です。周りに余裕のあるときだけ行い、通りかかる組は間隔をあけて進みます。
この図では、今進んでいる辺の長さの少なくとも2/3を通過してから、次の辺のLODへ滑らかに曲がる設定にしています。曲がり始める位置は毎回少しずつ変わります。これは本図の進路を整理するためのルールであり、すべての場面に共通する競技規則を示すものではありません。
辺に沿っている間はLOD方向、壁斜め、中央斜めを基本に移動します。短い間隔で斜め方向を変える組、大きな弧を描く組、比較的まっすぐ進みながら回転を続ける組。それぞれの進み方を見比べてみてください。具体的なフィガーの足型を再現したものではありません。
図の中では、壁側から中央側へ進むときに右回転、中央側から壁側へ進むときに左回転するよう、回転を進路に結びつけています。これは弧やジグザグを読み取りやすくする模式表現です。実際のフィガーでは、進行方向だけで回転方向が一律に決まるわけではありません。
フロアクラフトを、空いている場所の取り合いではなく、みんなの踊りが続く余白を探すこととして眺めてみる。次に踊るとき、少し先の景色が違って見えるかもしれません。
図は動きの関係を学ぶための簡略モデルです。種目ごとの実際のステップや審査基準を再現するものではありません。
図解・アニメーション:YokoDance