ダンスのステップを表現した足元のイメージ
イメージ(AI生成)。特定の人物・会場・商品を撮影した写真ではありません。

スペインの行進曲から生まれた踊り

パソドブレは、スペイン語で「二歩」「ダブルステップ」を意味する言葉です。もともとはスペインや南フランスで、行進曲に合わせて踊られていた、シンプルなペアの踊りでした。

その音楽には、ファンダンゴやフラメンコの要素も取り入れられています。1910年以降、様式化された踊りはヨーロッパ各地へ広がり、1920年代にはパリで振り付けが整えられました。社交ダンスのパソドブレのステップにフランス語の名前が多いのは、そのためです。

1945年から競技の種目となり、現在はラテン5種目の一つとして踊られています。

闘牛をイメージした、ドラマのある踊り

パソドブレは、スペインの闘牛をイメージした踊りです。男性が闘牛士(マタドール)を、女性が闘牛士の操るケープ(マント)を表すとされています。

ほかのラテン種目と違い、ルンバやチャチャチャのような腰の動きはほとんど使いません。胸を張り、背筋を伸ばした姿勢で、かかとから力強く踏み出していきます。

踊りの中で、ケープを翻すような動きや、堂々としたポーズが見られるのもパソドブレならでは。二人の関係そのものに、物語が込められている踊りです。

誇り高く、きりっとした美しさ

パソドブレの魅力は、力強さと誇り高さ。凛とした姿勢、きっぱりした足さばき、音楽の盛り上がりで決める堂々としたポーズ。ほかの種目にはない、ドラマチックな格好よさがあります。

振り付けは音楽のフレーズに合わせて作られ、曲が大きく盛り上がるところで、決めのポーズをとる構成になっています。音楽と踊りがぴたりと合う瞬間は、見ている人の心もぐっとつかみます。

見ているだけで背筋が伸びるような緊張感と、決まったときの爽快感。競技会でパソドブレの曲が流れると、会場の空気が一気に引き締まります。

行進曲の2拍子を、力強く刻む

音楽は行進曲風の2拍子で、テンポは1分間に60〜62小節ほど。力強く刻まれるリズムが、踊りの勢いをつくります。

一歩一歩を行進するようにはっきり踏み出すので、リズムは比較的つかみやすく感じられるかもしれません。音楽のフレーズの区切りを感じながら踊るのが楽しい種目です。

力強く見える踊りですが、力任せに動くわけではありません。まずは姿勢を整え、拍に合わせて一歩を置くところから始めましょう。

見る楽しみも大きい、憧れの種目

パソドブレは、競技会やデモンストレーションで目にすることが多い種目です。ルンバやチャチャチャなど、ほかのラテン種目に慣れてから習い始める人もいます。

もちろん、パソドブレに憧れて習ってみるのも素敵です。姿勢を整え、力強く一歩を踏み出す練習は、ほかの種目を踊るときにも気持ちを引き締めてくれるでしょう。始める種目や順番は教室によって違うので、相談してみてください。

習わなくても、競技会の観戦でパソドブレを見る楽しみもあります。各カップルが同じ曲でどんなドラマを見せるのか、見比べるのも面白いところです。

まず聴きたい『España Cañí(エスパーニャ・カーニ)』

パソドブレの音楽といえば、『España Cañí(エスパーニャ・カーニ)』。スペインの作曲家パスクアル・マルキーナが1923年ごろに作った曲で、英語では「Spanish Gypsy Dance」とも呼ばれます。

競技会でとてもよく使われることから、「パソドブレの曲」といえばこの曲を思い浮かべる踊り手も多い一曲です。今のパソドブレの曲の多くも、この曲の構成を下敷きにしています。曲が大きく盛り上がるところを探しながら聴いてみてください。

吹奏楽やオーケストラなど、さまざまな編成の演奏があります。踊るときは、テンポや構成がパソドブレに合わせて整えられた音源を選びましょう。

定番だけではなく、新しい演奏や好きな音楽でも

パソドブレの楽しみは、『エスパーニャ・カーニ』だけではありません。映画音楽やロックなどを、パソドブレの力強いリズムに編曲した演奏もあります。同じ動きでも、曲によって、勇ましくも、華やかにも感じられます。

『エスパーニャ・カーニ』を入口にして、「この曲なら胸を張って踊れそう」と思える一曲を探してみてください。

SNSでは、「パソドブレ」「Paso Doble」などの名前で探してみてください。決めのポーズがどこで来るのか、曲の盛り上がりと一緒に見てみると、パソドブレの構成の面白さが分かります。

スペインの行進曲から生まれた、誇り高い踊り。音楽と一緒に気持ちが高まるドラマを、聴いて、見て、味わってみてください。

参考・確認した情報

歴史・テンポ・動きの特徴はダンス団体とダンススタジオの資料、曲の情報は音楽事典の解説で確認しています。確認日:2026年10月30日。

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